
リスクを取らないリスク
堀古英司
この本について
仕事でもお金のことでも、「動いた方がいいのは分かってるのに、決めきれないまま時間だけ過ぎていく」みたいな場面ってありますよね。僕もけっこうそうで、慎重というより、あとで後悔するのが怖くて止まってしまうタイプです。ただ、本当に怖いのは“動くこと”じゃなくて、“何も選ばないまま状況がじわじわ不利になること”なんじゃないか、と気づかされたのがこの本でした。 『リスクを取らないリスク』は、行動経済学の「確実性効果」や「人間はリスク回避本能を持っている」という大前提を、経済の話と日常の意思決定の両方から説明してくれます。たとえば金利や国債の動きの話は一見専門的なんですが、「経済ってこうやって需要と供給でバランスが変わる。リスクとリターンも同じ構造なんだ」と腑に落ちると、自分の判断基準まで整ってくる感覚があります。また、著者が繰り返し触れているのが、“リスクを避け続けても安全にはならない”という現実で、格差や資本主義の仕組みまで含めて「決断しないことのコスト」を丁寧に見せてくれます。 個人的に刺さったのは、お金で買えない「体力」「胆力」「信用力」の話で、これらは急に必要になってからでは間に合わないし、リスクを小さく試しながら積み上げるしかないという視点です。だからこそ、いきなり投機に走るのではなく、事前に分析し、小さく動き、経験を増やすことが“安全に近づく道”として描かれているのが救いでした。 「リスクを負うのが怖いけど、このままでは何も変わらない気がしている人」に静かに効いてくる一冊だと思います。
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