
新型インフルエンザ 世界がふるえる日 (岩波新書)
山本 太郎
岩波書店 / 2006-09
この本について
最近、ニュースで感染症の話題を見るたびに、どこか「また同じことが起きたら、自分は何ができるんだろう」と落ち着かなくなることがあります。専門家ではないし、社会全体の動きなんて読めない。それでも、何が起きて、どこに弱さがあって、どこに希望があるのかくらいは知っておきたい。そんな気持ちにちょうど噛み合ったのが『新型インフルエンザ 世界がふるえる日』でした。 この本のいいところは、やみくもに恐怖をあおるのではなく、過去のパンデミックで何が起き、どこで社会がつまずき、どうやって被害を抑えようとしたのかを、現実的なレベルで見せてくれるところです。たとえば、流行は「一気に世界を呑み込む」のではなく、波のように地域ごとにやってくるから、対策の遅れ方で被害がまったく変わること。検疫や国境封鎖が万能ではなく、それでも流行をわずかに遅らせるだけで、医療崩壊を防いだりワクチン開発の時間を稼いだりできること。国によってワクチン生産能力に大きな差があり、その格差が結局は全世界のリスクにつながっていくこと。どれも、教訓というより「具体的な現実」として迫ってきます。 読んでいると、感染症との向き合い方は、個人の備えよりも「社会がどう動くか」を理解することのほうがずっと大事なんだなと気づきます。ウイルスと永遠に戦い続けるのではなく、どう共存し、どう被害を抑えていくかを冷静に考えるための素材がそろっている本です。自分の不安に名前をつけたい人、あるいは未来の混乱を少しでも読み解けるようになりたい人には特に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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