
告白(上)
ジャン・ジャック・ルソー and 桑原武夫
アドバンス出版 / 2025-02-25
この本について
自分のことを言葉にしようとすると、どうしても「本当の自分ってこんなだったか?」とモヤモヤする瞬間があります。思い出そうとすればするほど、記憶が曖昧になったり、都合よく書き換えられていたりして、結局よく分からなくなる。人との関係でも、相手の目に映っている自分と、自分が感じている自分がずれていて、静かな居心地の悪さが残ることもあります。 ルソーの『告白(上)』は、そのずれや曖昧さと正面から向き合った人間が、どこまで「自分」という迷路をたどれるのかを見せてくれる本です。読んでいて刺さるのは、彼が特別だからではなく、むしろ弱さや恥ずかしさまで含めて徹底的に書こうとしているところ。滑稽な思い出ほど言いにくい、けれどそこからしか自分の輪郭は見えてこない、という実感が妙にリアルです。また、自分は社交が苦手なのではなく、誤解される不安が大きいだけだという告白は、人づきあいに疲れやすい人には思い当たるところがあると思います。 そして幼い頃の「感じることが先」という記憶のたどり方も、頭で整理する前に湧き上がる感情のほうが、その人の根っこに近いのかもしれないと気づかせてくれます。きれいにまとまった人生観ではなく、矛盾した経験がゆっくり一つの線になっていく感じが、この本の一番の読みどころです。 自分の内面を言葉にするとき、うまくいかなさを抱えている人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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