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鴨川食堂 (小学館文庫)

鴨川食堂 (小学館文庫)

柏井壽

小学館 / 2015-05-13

累計読者数4
平均ハイライト数 4.5件/人
推定読了時間 約3時間6分
star総合評価 48/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 47%

この本について

仕事で気を張った日なんかは、家に帰っても気持ちのスイッチが切れなくて、「ちゃんと休めてる気がしないな…」とぼんやりすることがあります。何か特別なことをしたいわけじゃないけれど、心が静かにほどける瞬間だけは欲しい。そんなときに、人によっては音楽だったり散歩だったりするけれど、僕は物語の中の“食べもの”が効くことがあります。 『鴨川食堂』を読んでいると、抜粋にもあったように「美味しい」と思わずこぼれてしまう描写が続きます。派手な展開があるわけじゃないのに、べべ着とか、けったいな、あんじょう、といった京ことばがほんのり混じる会話の空気が、読む側の呼吸までゆっくりにしてくれる。モロコやひろうすみたいな、普段あまり縁のない食べものが出てきても、知らないまま置いていかれる感じがなくて、むしろ“知らない味に思いを馳せる余白”が心地よかったりします。 この本が効く理由は、料理そのものよりも、そこにある小さなやり取りや、人と人の距離感の描き方にあります。「わかりました。お父ちゃんの腕に期待しましょ」という軽いやりとりの奥に、言い切らない優しさがある。値千金みたいな古めの言い回しがぽんと置かれて、時間の流れがすっと緩む。読みながら、その日の自分の喧騒が少しだけ薄まっていく感覚があるんです。 特に、忙しくて余白をなくしがちな人や、「ちゃんと休みたいのに、うまく休めない」と感じやすい人には静かに刺さると思います。大事件は起きないけれど、その代わりに、心がもう一度“日常の速さ”を思い出すような読み心地があります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

京都発! 思い出の「味」、捜します。 第一話 鍋焼きうどん―― 一番おいしかったものにもう一度出会うのは難しい。 窪山秀治は数年前に妻を亡くし、定年後に新たな伴侶と巡り会った。彼女は秀治の大好物だけうまく作れないという。 第二話 ビーフシチュー――プロポーズされたレストランが思い出せない!? 師走に入ると、京の都もせわしない。二人の老婦人が、55年の食を求めて看板もない食堂に入っていった。 第三話 鯖寿司――おいしさに勝るのは、思い出というスパイス。 総理大臣である岩倉友海が探しているのは、50年も前食べさせてもらったおやつがわりの品だった。 第四話 とんかつ――“おいしい”の一言を、忘れる料理人はいない。 大分でピアノ教師をしている広瀬須也子の元夫は、京都でとんかつ屋を開いていたが、余命三ヶ月だという。 第五話 ナポリタン――おいしいものを食べると、泣けてくる。 浜松に住む女子大生・美月明日香が探しているのは、祖父が旅行先で食べさせてくれた黄色いスパゲティだった。 第六話 肉じゃが――男のソウルフードは、おふくろの味。 六本木ヒルズ在住の実業家・伊達久彦は、亡き母が作ってくれた肉じゃがを食べてみたいという。
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