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ある島の可能性 (河出文庫)

ある島の可能性 (河出文庫)

ミシェル・ウエルベック、中村佳子

河出書房新社 / 2016-01-07

累計読者数4
平均ハイライト数 16.5件/人
推定読了時間 約5時間47分
star総合評価 46/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%

この本について

年齢を重ねるほど、人間関係も身体も価値観も、どこかうまく折り合いがつかなくなってくる瞬間が増えます。若い頃に抱えていた不安とはまったく別物の、説明しづらいモヤモヤが急に重くなるような感じです。誰かに言えるほど立派な悩みじゃないのに、自分の中ではけっこう響いてしまうやつです。 『ある島の可能性』の抜粋を眺めていると、そこに刺さっている人の多くは、「老い」「性」「孤独」のズレた温度感に共鳴しているように思います。ウエルベックはその三つをきれいに扱わず、容赦なく、でもどこか人間のどうしようもなさに寄り添うように描くんですよね。たとえば、性への執着が年齢とともに扱いきれなくなっていく感覚や、誰かを尊敬できなくなる瞬間の冷たさ、あるいは感情がだんだん摩耗していく現実。読んでいて楽になる種類の物語ではないけれど、「自分だけが歪んでいるんじゃなかった」と思わせてくれる力があります。 この本が効くのは、きれいごとよりも本音のほうがまだ信用できる、そんな時期にいる人だと思います。救いは多くないけれど、その代わり、現実と折り合いをつけるための視点がいくつか拾えるはずです。例えば、感情が薄れていくことをただの失敗と見なさない考え方や、誰かとの関係が「保つ」よりも「変わっていく」ものだと受け止める余裕みたいなものです。 刺さる人はごく一部だと思います。でも、世の中と自分の距離感に違和感が出てきたとき、そのズレそのものを素材にしてくれる本を探しているなら、これはけっこう心に残ります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

辛口コメディアンのダニエルはカルト教団に遺伝子を託す。2000年後ユーモアや性愛の失われた世界で生き続けるネオ・ヒューマンたち。現代と未来が交互に語られるSF的長篇。
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