
シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)
ロスタン、渡辺 守章
グーテンベルク21 / 1939-01-01
累計読者数3
平均ハイライト数 2.7件/人
推定読了時間 約4時間11分
star総合評価 49/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 90%
この本について
人の感情って、言葉にしづらいところほどやっかいですよね。嫉妬なのか、尊敬なのか、それとも別の何かなのか。誰かを好きになる時って、相手だけじゃなくて、自分の中のよく分からない気持ちとも向き合うことになって、そこで立ち止まってしまうことがあると思います。 『シラノ・ド・ベルジュラック』は、まさにその「名前のつかない感情」の揺れに踏み込んでくる作品でした。読んでいて印象的なのは、シラノとクリスチャンの関係に漂う微妙な温度で、訳者が淡々と触れていく同性愛的なニュアンスや、三角関係に潜む無意識の力学がむしろ人間臭さとして浮かび上がってくるところです。恋愛の形を単純に分類しようとするより、曖昧なまま抱えている方がむしろリアルだよな…と静かに視点がずらされていきます。 そしてもう一つ、この物語の根っこにある「表に立つ者と影に回る者」の構図も、自分の仕事や日常に意外と重なります。言葉を渡す側にとどまって、成果は他の誰かの顔になる。それでも本人はどこかで納得してしまっている。その姿勢が美談ではなく、苦さを抱えたまま描かれているのが救いで、負けた気がしていた場面にも別の意味があるかもしれないと思えるようになります。 恋愛でも仕事でも、自分の役回りに引っかかりを抱えている人には、静かに刺さる一冊です。
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出版社による紹介
当代随一の才気ある詩人であり、勇猛果敢な剣士でもあるシラノは、唯一その顔のまんなかを占める巨大で醜い鼻のコンプレックスに悩んでいた。美女ロクサーヌへの純真な恋心も鼻のまえには率直に告白することができない。シラノは恋敵の貴公子クリスチャンの影法師として生きる。......波乱万丈、痛快無比、決闘あり、百人切りあり、駄じゃれ、毒舌、雄弁、名せりふに満ち満ちた、おもしろさ、楽しさ完全保証の悲喜劇。
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