
人生が変わる55のジャズ名盤入門 (竹書房新書)
鈴木良雄
竹書房 / 2016-02-04
この本について
仕事で煮詰まったり、日々なんとなく同じ景色のまま過ぎていく感じが続くと、音楽でも本でも“ただ流しているだけ”になってしまうことがあります。いいと言われる名盤を聴いても、どこをどう味わえばいいのか分からないまま終わることもあって、僕自身ずっともやもやしていました。 この本が良かったのは、演奏そのものよりも「その背景にある人間の温度」に視点を向けさせてくれたところです。黒人ミュージシャンの置かれていた歴史や、クラシックを学んだビル・エヴァンスの感性、メンバーの死や麻薬の影まで、きれいごとにせず淡々と触れられているので、音の裏側にある葛藤や空気の揺れが急に立ち上がって聞こえてきます。また、ただの知識では終わらず、「替え歌を競い合うようにアドリブをぶつけ合う」といった具体的な場面が多いので、ジャムセッションが抽象的な“即興”ではなく、仲間同士の会話だったんだと腑に落ちます。 もう一つ刺さったのは、マイルスの「リラックスしろ」という一言に象徴される、音づくりの“余白”の感覚です。統制がありつつも、あえてリズムを崩したり、白人・黒人の感性が混じり合ったりして生まれる揺れが、結果的に名盤を形づくっている。その曖昧さを無理に整理しようとしない姿勢は、日々の仕事にもそのまま持ち込める視点でした。 音楽を“理解しよう”として疲れてしまった人や、もう一歩踏み込んで聴きたいのに入口が見えない人に向いています。音の後ろにいる、等身大のミュージシャンたちと並んで歩いているような感覚が残る一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの51%が集中しています。
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