
音楽入門 (角川ソフィア文庫)
伊福部 昭
KADOKAWA / 2016-06-18
この本について
音楽を聴くとき、つい「雰囲気」や「連想」で受け取ってしまって、本当のところ何を感じたらいいのか分からなくなることがあります。難しそうな現代音楽は特にそうで、理解できない自分が悪いのか、と妙に落ち込むこともあります。でも、じつは“分からなさ”の正体って、知識よりも、音のどこに耳を置くかが定まっていないだけなんですよね。 伊福部昭の『音楽入門』は、その耳の置き場を静かに整えてくれる本でした。律動・旋律・和音という三つの要素を、作品から切り離して一度バラで聴いてみるという提案は、自分の中の「音楽をどう味わうか」を初期設定から見直す感覚に近いです。連想で作品を解釈しようとすると、いつの間にか音楽そのものから遠ざかってしまう、という指摘にもけっこうドキッとしました。純粋に音の“直接の印象”に戻るだけで、難しいと思っていたジャンルが急に開ける感じがあります。 もうひとつ大きかったのは、音楽の背景にある価値観の揺れを知れたこと。宗教音楽では律動が抑えられたとか、近代で音楽がハイ・ブロウとロウ・ブロウに分かれミドルが消えたとか、そういう話が入ってくると、自分の好みもある時代の流れの中にあるんだと分かって、変に卑下せずにすみます。 音楽を「理解しなきゃ」と力んでしまう人や、現代音楽に苦手意識がある人には、とくにしっくりくると思います。音を聴くときの姿勢を、無理なく、でも確実に変えてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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