
寛容論 (光文社古典新訳文庫)
ヴォルテール and 斉藤 悦則
この本について
仕事でも私生活でも、意見が合わない相手と向き合う時間が増えてくると、「どこまで踏み込んでいいのか」「そもそも何を守ればいいのか」がわからなくなることがあります。正しさを主張したい気持ちと、争いを避けたい気持ちのあいだで揺れる感じです。僕自身、このモヤモヤを放置すると、気づかないうちに相手を「わからず屋」と決めつけてしまうことがあって、後から自己嫌悪になっていました。 ヴォルテールの『寛容論』は、そんな行き詰まりに対して、抽象的な理想論ではなく、「人間はなぜ不寛容になるのか」「その結果、何が起きてきたのか」を歴史の具体例で見せてきます。たとえば、わずかな言葉の違いが争いを生み、宗派ごとに分かれた人々が互いを排除してきた事実。それを前にすると、自分の中の“正しいはずの怒り”も、意外と脆いものに見えてきます。また、自然の法という「自分がされたくないことは他者にもしない」という考え方が、現実の衝突の場面をどう支えてきたのかが描かれていて、いまの人間関係にそのまま持ち込める視点でした。 何より、寛容は大志でも聖人の徳でもなく、「自分が狂信に陥らないための態度」だと示してくれるのが救いです。相手の意見を全面的に肯定するわけでもなく、黙って飲み込むわけでもない。その中間で踏ん張るための考え方が少しずつ整っていく感じがありました。 人と衝突すると必要以上に疲れてしまう人や、「正しさ」に押しつぶされがちな人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
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