
語彙力がないまま社会人になってしまった人へ
山口 謠司
ワニブックス / 2017-09-26
この本について
社会人になってしばらく経つと、「この言い回しで合ってるのかな…」「相手にどう伝わってるんだろう…」と、ちょっとした言葉の選び方で立ち止まる瞬間が増えます。自分では丁寧に話したつもりでも、どこか薄っぺらく聞こえたり、逆に堅苦しすぎたりして、うまく距離感をつかめないまま会話が終わってしまうこともあります。結局のところ、語彙というのは“知っているかどうか”以上に、“適切な場面で選べるかどうか”なんですよね。 この本の面白いところは、ただ難しい言葉を並べるのではなく、「なぜその言葉がその場面で効くのか」を一つひとつ解きほぐしてくれるところです。たとえば、つい言ってしまいがちな「なるほど」が実は相手の言葉を遠ざけてしまう可能性があることや、「拝承いたしました」という受け方には、相手の大事な用件を両手で受け取るような丁寧さが宿ること。意味を覚えるというより、場面の空気ごと理解できるので、日常の会話で自然に選び直せる感覚があります。 さらに、「因果」と「相関」の違いのように、知っているつもりだった言葉の境界線がクリアになるのもありがたくて、曖昧な理解のまま仕事の説明をしていた自分に気づかされます。「概説」「敷衍」といった実務で意外と出てくる語も、仕組みから捉え直せるので、文章を書く場面でゆっくり効いてきます。 言葉に自信がないというより、「ちゃんと伝えたいのに、どこかしっくりこない」タイプの人に特に刺さる一冊だと思います。同じように日々迷っている身として、この本は“語彙を増やす”ためというより、“言葉の温度を調整する”ために手元に置いておきたい本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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