
男が痴漢になる理由
斉藤章佳
イースト・プレス / 2017-08-25
この本について
電車で痴漢のニュースを見るたびに、「なんでこんなに繰り返されるんだろう」と思うことがありました。冤罪の議論ばかりが先に立って、本質的な仕組みが見えないままモヤモヤしていたんですが、この本を読むと、行為の裏側にある“依存”としての構造がかなり具体的に見えてきます。読んでいて楽しい内容ではないけれど、現実を知ることで初めて腑に落ちる部分がありました。 特に刺さったのは、痴漢が一部の特殊な人間の異常行動ではなく、「学習された行動」であり、満員電車や取り締まりの弱さといった“環境”が拍車をかけているという視点です。また、加害者が口をそろえて言う「スイッチが入る」という感覚が、衝動性やドーパミンの問題と地続きになっている点も、自分の想像よりずっと複雑でした。罪悪感よりも“手応え”が上書きされていくプロセスや、「女性も喜んでいると思った」といった認知の歪みも、加害のリアリティとして突きつけられます。 読後に残るのは恐怖ではなく、「知らないままで議論しても噛み合わないよな」という感覚でした。被害の痛みを軽んじることなく、加害のメカニズムを現実的に理解したい人に向いている本だと思います。強い主張で読者を動かそうとするタイプの本ではなく、ただ淡々と事実と臨床の現場が積み重ねられているので、自分の中の思い込みを静かにほどいていくような読書になりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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