
取締役の心得
柳楽 仁史
総合法令出版 / 2018-09-07
この本について
役員に限らず、マネジメント寄りの立場になっていくと、「権限は増えないのに責任だけ大きくなる感じがする」「評価と報酬が自分の実感とズレている気がする」「数字や戦略の話になると急に苦しくなる」みたいなモヤモヤがつきまといます。僕もそこから抜け出せずにいた時期があって、何を基準に判断すればいいのか、正直よく分からなくなっていました。 この本が良かったのは、取締役という立場を“偉い人の役割”としてではなく、“責任と不確実性をどう扱うか”という視点で捉え直してくれるところです。例えば、「責任>権限」という前提に立つことで、権限がない状況を嘆くよりも、どう判断し、どう説明するかに意識が寄るようになります。また、「組織と戦略はどちらが先か」という古典的な議論も、どちらでもなく“相互作用で形づくられる”と説明されていて、現実のぐちゃっとした状況と噛み合う感じがあります。さらに、数字に強いかどうかは才能ではなく、潜在意識に落ちるまで繰り返すしかない、と淡々と言われるあたりも現実的です。 取締役の仕事は華やかというより、覚悟や判断の積み重ねに近いのだと思います。報酬や評価の仕組みや、リスクのとり方、人前で話す準備の重要性まで踏み込んでいて、読みながら「これは自分にも当てはまるな」と何度も姿勢を正されました。役職名に関係なく、“責任の重さに対して迷う瞬間が増えてきた人”には刺さる本です。
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