
死にたい夜にかぎって (扶桑社BOOKS)
爪 切男
この本について
大人になればもう少しうまくやれると思っていたのに、実際は「気づいたら余計なことばかり覚えて、肝心なことほど下手になっている気がする」と感じる日ってありますよね。甘え方も、怒り方も、人との距離の取り方も、子どもの頃よりずっと下手になってしまったような気がして、ふと立ち止まってしまう。そんな時に、この本の抜粋が強く保存されているのは、たぶん同じように「どうやって生きればいいんだっけ」と迷っている証拠なんだと思います。 『死にたい夜にかぎって』は、重いテーマを扱っているのに、不思議と自分の生活と地続きなんですよね。例えば、ゲロの量を見て笑っちゃうような小さな救いとか、家庭の匂いに混じるどうしようもない絶望とか、好きな人にうまく誇れないまま過ごす夜とか。読んでいると、自分の中にも似た風景があったことを思い出させられる。しかもそれが説教にも美談にも回収されず、ただ「そういうこと、あるよな」とそのまま並べられていくのが、この本の妙な安心感につながっています。 特に刺さるのは、痛みを笑いに変える癖の裏にある寂しさとか、大人になるほど簡単なことができなくなる不器用さとか、誰かに甘えたい気持ちと甘えちゃいけない気持ちのせめぎ合いみたいな部分です。読んでいると、自分でも忘れていた感情の在り処が少しわかる瞬間がある。問題が解決するというより、「ああ、自分だけじゃなかったんだ」と呼吸が戻る感じに近いです。 こんな人に刺さると思います。強がるのに疲れた夜、ふと立ち止まってしまう大人。独りで抱え込んでいた記憶が、少しだけ軽くなるかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
読書の順序
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