
准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき (角川文庫)
澤村 御影
KADOKAWA / 2018-11-22
この本について
知らないうちに、出来事そのものより「自分の解釈」に疲れてしまうことってありませんか。説明できないことに出会うと、つい余計な意味づけをしてしまったり、怖くもないものを怖い方向に読んでしまったり。放っておけばいいはずなのに、頭の中で勝手に物語が育ってしまうあの感じです。僕もよくやってしまうので、人のことは言えません。 そんなモヤモヤを抱えているときに読んだのが『准教授・高槻彰良の推察』でした。この物語の面白さは、怪異に“解釈”というメスを入れていくところにあります。たとえば、噓だけが歪んで聞こえる尚哉の体験を、高槻が「現象」と「解釈」に分けて扱っていく視点。現実では辛すぎる出来事が物語として語り継がれる仕組み。怖いから理由をつける、理解できないものを人の手で定義してしまう心の癖。こういう説明を読むと、自分の中にある不要な思い込みにも気づかされるんですよね。 しかも、高槻自身の過去や背中の傷、藍色の瞳といった“謎”も、人の心が生み出す物語と地続きになっていて、読み進めるほど「解釈ってほんとうに世界を歪めるんだな」と実感させられます。現象そのものより、それにどう意味を与えるかで世界の輪郭が変わってしまう感覚が、このシリーズの醍醐味だと思います。 現実をすぐ物語化してしまう人、あるいは「自分の解釈のクセ」を見直してみたい人には、特に刺さるはずです。物語として楽しみつつも、気づけば自分の見方が少しだけほぐれている、そんな一冊でした。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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