
感情の正体 ──発達心理学で気持ちをマネジメントする (ちくま新書)
渡辺弥生
この本について
人と関わるとき、「なんであの人はあんな反応をするんだろう」とか、「自分の感情、もう少し扱えるようになりたいな」と思う瞬間ってけっこうあります。表面では冷静に見えても、内側では怒りや不安が暴れていたりして、そのたびに後から自己嫌悪になる…そんな循環をどうにかしたい、という声もよく聞きます。 この本は、そういう“感情に振り回されがちな毎日”を、少しずつ整理できる視点をくれます。たとえば、攻撃的な人が必ずしも「怒りっぽい性格」なのではなく、そもそも謝るとか気遣うといった行動が“データベースに入っていない”という話は、対人関係での見え方を一段深くしてくれます。また、感情には生得的な部分と、幼少期の応答経験によって形づくられていく部分があるという説明は、自分や他人の反応を一度立ち止まって受け止める余裕につながりました。さらに、EQの4つの能力を軸に、自分の感情を識別し、調整し、他者との関係に活かすプロセスが整理されているので、「どう扱えばいいのか」を行動レベルでイメージしやすいです。 過去の育ちや環境の話が出てくると、「じゃあ自分はもう変われないのか」と不安になるかもしれませんが、著者はそこをあおらず、むしろ今からでも関係性の積み重ねで変わっていく余地があることを丁寧に示しています。感情を俯瞰する力も、“特別な人だけの能力”ではなく、トレーニングで育てられるスキルとして書かれているのが救いでした。 自分や他人の感情にいつも振り回されて疲れている人に、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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