
サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春文庫)
ジリアン・テット and 土方 奈美
文藝春秋 / 2019-05-09
累計読者数15
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推定読了時間 約5時間6分
star総合評価 80/100
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この本について
仕事をしていると、自分の部署のことだけで手一杯で、他のチームで何が起きているのか全然見えないまま判断してしまうことってありませんか。気づけば視野が狭くなっていて、「なんでこんなに噛み合わないんだろう…」とモヤモヤするあの感じです。専門性を磨くほどに起きがちな悩みだと思います。 『サイロ・エフェクト』は、この“見えない境界”がどんなふうに組織や個人の判断をゆがめていくのかを、具体的な事例で見せてくれる本でした。ただ「サイロは悪」と断じるのではなく、必要な構造と危うい構造の違いを淡々と描いているのが読みやすいところです。特に刺さったのは、分類の仕方を変えるだけで世界の見え方がガラッと変わる、という指摘でした。新しい情報を得るよりも、新しい目で見ることのほうが効く瞬間って、日常にも思い当たるはずです。 また、情報共有を「量」だけで解決しようとすると逆効果になるという話も現実的でした。大事なのは、共有された情報をどう解釈し合える関係をつくるか、そして部署間を行き来して翻訳する人が少数でも存在するかどうか。その視点があるだけで、組織の行き詰まりの理由が少し読み解きやすくなる気がします。 自分の世界が知らないうちに狭くなっているかもしれない、と感じている人に特に刺さる本です。抽象論ではなく、日常の判断の癖を静かにずらしてくれる一冊だと思います。
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出版社による紹介
1999年のラスベガス。ソニーは絶頂期にあるように見えた。しかし、舞台上でCEOの出井伸之がお披露目した「ウォークマン」の次世代商品は、2つの部門がそれぞれ別個に開発した、2つの互換性のない商品だった。それはソニーの後の凋落を予告するものだった。 世界の金融システムがメルトダウンし、デジタル版ウォークマンの覇権をめぐる戦いでソニーがアップルに完敗し、ニューヨーク市役所が効率的に市民サービスを提供できない背景には、共通の原因がある。それは何か——。謎かけのようなこの問いに、文化人類学者という特異な経歴を持つ、FT紙きってのジャーナリストが挑む。 企業であれ自治体であれ、あらゆる組織は「サイロ化」という罠に陥りがちである。分業化したそれぞれの部門が、それぞれの持つ情報や技術を部署の中だけでとどめてしまい、隣の部署とのあいだに壁を作ってしまう。日本語では「タコツボ化」と呼ばれるこの現象は、どんな組織でも普遍的に存在する。 経済学的な観点からすれば、身内での競争を生むような「サイロ」は無駄であるから、トップが「サイロ撲滅」の掛け声をかければ解決に向かう、と思いがちだ。ソニーの新しい経営者・ストリンガーも最初はそう考えた。しかし、彼は失敗した。壁は極めて強固で、一度できたサイロは容易には壊れない。 文化人類学者の視点を持つ著者は、「サイロ」が出来るのは人間に普遍な原因がある、と説く。人間に求められる技術が高度で専門的になればなるほど、サイロはむしろ必要とされるからだ。 人間は必ずサイロを作る、ならば、その利点を活用しつつ、その弊害を軽減する方法を探ろうとする画期的な論考が、本書である。
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