
リビルドワールドI〈上〉 誘う亡霊 (電撃の新文芸)
ナフセ、わいっしゅ、吟、cell
KADOKAWA / 2019-05-17
この本について
仕事でも日常でも、判断を迫られた瞬間に足が止まることってありますよね。分かってるのに動けないとか、納得したはずなのに覚悟が追いつかないとか。頭の中だけが忙しくて、体がまったくついてこないあの感じです。僕もよくそこでつまずきます。 『リビルドワールドI〈上〉』の抜粋を読んでいて強く感じたのは、「アキラも同じところで止まっている」ということでした。彼は理解してもすぐには動けないし、納得しても感情が追いつかないし、恐怖や負の感情に振り回される。それでも、状況に押し出されるように一歩を踏む。その揺らぎの描写が、とにかく人間くさいんです。得体の知れない存在に触れた時の混乱や、助ける理由よりも“殺す理由”を探してしまうねじれた心の動き、余暇がなくて思考が空回る焦り。読者が保存していた部分は、その「葛藤の瞬間」を丁寧に追っている場面ばかりでした。 この本の効き方は、ひたすら強い主人公に勇気づけられるタイプとは少し違って、自分が悩んでいる“その瞬間”に寄り添ってくれる感じです。行動が遅れる理由を「弱さ」として切り捨てず、揺れたままでも前に出ていく姿を見せてくれる。得体の知れないものへの恐怖を、言語化されないまま抱えている時の重さにも触れてくれる。そういう視点の変化が、この物語の中に何度も出てきます。 自分の迷いを急に整理したいわけじゃなくて、とりあえず「揺れたまま進む人間」を見たい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの51%が集中しています。
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