
ことばと文化 (岩波新書)
鈴木 孝夫
岩波書店 / 1973-05-21
この本について
日常でふと「自分の感じ方って、他の人と同じなんだろうか」とか、「相手の言葉の意図がつかみにくい」といったモヤモヤを抱えることがあります。コミュニケーションの問題として片づけがちですが、その奥には、そもそも“世界の見え方”をつくっている言語そのものがあるのかもしれません。 『ことばと文化』を読んで印象的だったのは、私たちが当たり前のように使っている日本語が、思考や自己の立ち位置まで quietly 形づくっているという指摘でした。例えば、相手によって自分の呼び方が変わる日本語の構造が、初対面でなかなか主張できない感覚にまでつながっているという話。あるいは、水ひとつ取っても、「氷」「湯」「霜」…と細かく名前を分ける日本語が、世界をどう“切って”認識するかを定めているという話。言葉が世界を写しているのではなく、むしろ言葉が世界の輪郭を作っている、という視点はかなり衝撃でした。 この本が効くのは、「自分のコミュニケーションの癖は性格の問題だ」と思い込んでしんどくなっているときです。性格ではなく、言語の構造や文化の前提が、自分の“見えるもの”を quietly 決めているだけかもしれない。そう思えるだけで、ちょっと身軽になります。外国語学習の意味も、スキルではなく「別の窓から世界を見る」ことにあるのだと、腑に落ちるはずです。 自分の思考や感じ方の“土台”を疑ってみたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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