
日本一わかりやすいMaaS&CASE――ストーリーで理解する
中村 尚樹
President Inc / 2020-04-14
この本について
移動や観光のサービスに関わっていると、「いいアイデアのはずなのに、なぜか現場でハマらない」「海外で成功しているモデルを持ってきても、ぜんぜん刺さらない」といったモヤモヤがつきまといます。机上では正しくても、地域の文化や利用者の感覚がズレていると、一気に回らなくなるのを何度も見てきました。 この本が面白いのは、その“ズレ”がどこで生まれるのかを、具体的なエピソードで拾い上げてくれるところです。例えば、学生目線のサービスがなぜ出会いを生み、地域性を無視した商品がどう失敗するのか。あるいは、ドイツの運賃体系やピクトグラムを日本向けに直すだけで、どれほどの手間がかかるのか。こういうリアルな話が続くので、抽象論より「実際にやるとこうなるんだよな」という感覚で読めます。 読み終わったあとに残るのは、「正しさより、その土地でどう動くか」という視点でした。手間を惜しまず宿を一つずつ開拓したり、国交省へ毎日電話して理解を揃えていったり、アプリの地図を文化に合わせて作り直したり。結局、サービスづくりはこういう積み重ねなんだと腑に落ちます。 新規事業やローカライズに悩んでいる人、特に「現場に落とすときの違和感」に敏感な人には、すごくしっくりくる一冊だと思います。
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