
小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)
小澤征爾、村上春樹
新潮社 / 2014-07-01
この本について
仕事でも趣味でも、何かを「ちゃんと理解したいのに、いざ実践すると全然思った通りにいかない」ということがありませんか。頭では読めているはずなのに、現場に出た瞬間に“あれ、こんなはずじゃ”となるあの感じ。僕もよく迷います。 この本を読んでいて救われたのは、小澤征爾さんでさえ同じ壁にぶつかっている姿が、村上春樹さんとの対話の中で自然に見えてくるところでした。楽譜を読んで「わかったつもり」になっていても、オーケストラで音を出すと“ありゃっ”となること。子音と母音のような細部の積み重ねが、全体の像を立ち上げていくという話。沈黙すら音として扱うという姿勢。それらが「理解とは、こういう地道な作業なんだよ」と静かに示してくれます。頑固さと柔らかさを行き来しながら、技術を身体に入れていく過程もとてもリアルです。 読んでいて特に刺さったのは、いい演奏とは「覚えることより、入り込めるかどうか」だと言い切る場面でした。仕事でも人生でも、資料を読み込むだけではダメで、結局は自分の中で立体化しないと動けない。ああ、自分が最近つまずいていたのはここだなと腑に落ちました。 音楽の本ではあるけれど、実際は「自分の仕事の手触りが消えかけている人」に効く内容です。専門外でも読めますし、むしろ外の世界だからこそ、ノイズなしで本質が見えてきます。音に向き合う姿勢を追体験することで、自分の“耳の向け方”も少し変わっていく一冊でした。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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