
時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて (ブルーバックス)
高水裕一
講談社 / 2020-07-16
この本について
仕事でも日常でも、ふと「時間ってほんとに一方向に流れてるのか?」みたいな、答えの出ないモヤモヤにぶつかることがあります。忙しさに流されていると、時間の正体なんて考える余裕もないけれど、でもどこかでずっと引っかかっている。そんな違和感に、少しだけ輪郭を与えてくれるのがこの本でした。 印象的なのは、時間やエントロピーを“絶対のもの”としてではなく、「私たちが世界をどう観測しているか」で姿が変わるものとして扱っているところです。たとえば星が生まれる場所だけを見れば秩序が増えたように見えるけれど、そこから外へ熱を逃がす過程まで含めれば、宇宙全体ではちゃんとエントロピーが増えている。この視点の切り替えは、日々の仕事でも感じる“部分最適に見えるけど全体では違う”みたいな感覚に少し似ていて、読みながら妙に納得してしまいました。 さらに、「時間はそもそもそこにあるものではなく、事象の関係として立ち上がるもの」という話にも救われます。過去や未来に縛られて動けなくなる時ってありますが、時間を一枚の流れではなく“関係の集合”として見直すと、自分がいま握りしめている前提がちょっとゆるむ感じがするんです。そして、量子の振る舞いがそもそも直感的に理解不能で、「わからん!」と匙を投げてもいいという著者のスタンスにも、変に安心させられました。 宇宙の話なのに、どこか日々の思考のクセにも効いてくる。不確かさに疲れている人よりも、むしろ「結論は出なくていいから世界の見え方が増えると楽になるかも」と感じているタイプに刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの77%が集中しています。
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