
中世ヨーロッパの社会観 (講談社学術文庫)
甚野尚志
講談社 / 2007-06-09
この本について
仕事でも日常でも、「この役割って本当に自分がやるべきなんだろうか」とか、「組織の構造そのものがしんどい」と感じる瞬間があると思います。自分の努力とは関係なく、決まった枠組みの中で動かされているようなあの感覚です。そんなモヤモヤに向き合っていると、中世の人たちはそもそも社会をどう見ていたのか、という視点がじわっと効いてきます。 この本が面白いのは、偽ディオニシオスの宇宙観やアウグスティヌスの共同体観、さらには「祈る者・戦う者・耕す者」という三つの身分構造まで、当時の人々が“世界をどう理解していたか”を丁寧にたどれるところです。読んでいると、今の社会が抱える問題の源流が思いがけないところにつながっていて、現代の「組織」「役割」「権威」の捉え方も少しずつ相対化されていきます。特に、権力は神から与えられたものだから従うべきだ、という考えがどれだけ長い時間をかけて社会に浸透していったのかを知ると、自分の抱えている“違和感の正体”が意外と歴史的だったりします。 過度に社会を美化する本でもないので、読後に「中世の仕組みを真似しよう」という話にはなりません。ただ、いまの価値観の前提を一度外して眺め直すことで、自分がどこに立っていて、何に縛られているのかが静かに見えてくる感覚があります。こういう地味だけどじわじわ効く本が好きな人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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