
起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
大西 康之
東洋経済新報社 / 2021-01-29
この本について
仕事で人を巻き込めないとか、組織の壁にぶつかって自分の小ささを思い知らされる瞬間ってあります。自分の判断に自信が持てないまま、周りに合わせて流されていく感じも、正直よく分かります。そんなときにこの本を読むと、理想論でも精神論でもなく、「人や組織をどう動かすか」という泥くさい現実に向き合った起業家の姿がそのまま出てきます。 江副が“自分より優れた人を動かす”ために取った方法は、威張ることでも天才ぶることでもなく、「君はどうしたい?」と相手の意志を引き出すことでした。しかもその裏で、自分の意見もしっかり持ちながら、相手に自分の頭で考えさせるように誘導していく。読みながら、自分が普段どれだけ“言い方”や“順番”で損しているかに気づかされます。また、地方出身者や女性、在日の若者など、当時の社会で不利な立場にいた人たちに機会を渡し、強いチームに変えていった話は、いまのキャリア論や組織論にもそのまま響きます。 もう一つ印象的なのは、組織が大きくなると必ず起きる「壁」の存在に対して、江副が異常なほど敏感だった点です。部門間の溝に問題が埋もれる前に、キャンプのような場であえて壁を壊す。そこまでやらないと人はつながらないし、正確な情報も上がってこない。これは日々の仕事にもすぐ持ち帰れる感覚でした。 派手な成功談ではなく、表と裏、理想と現実、そのどれもを抱えた“人間としての起業家”に触れたい人に刺さる本だと思います。自分の働き方や、人との向き合い方をもう一度整えたいときにちょうどいい一冊です。
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