
死んだらどうなるのか?――死生観をめぐる6つの哲学
伊佐敷隆弘
亜紀書房 / 20190920
この本について
死について考えようとすると、途端に「正解がない世界」に放り出されたような感覚になります。誰かに相談できるテーマでもないし、かといって放置すると、ときどき夜道で後ろを振り返るような落ち着かなさが残る。僕自身、親の老いや自分の年齢を意識する場面が増えてきて、このモヤモヤをどう扱えばいいのかずっと迷っていました。 この本がよかったのは、「死後はどうなるのか」をひとつの答えにまとめようとせず、歴史や文化の層をそのまま見せてくれるところです。たとえば、細胞の入れ替わりから「身体は常に外界とつながっている」という視点が出てくると、死を“断絶”ではなく“連続の途中”として捉える感覚がほんの少し育ちます。あるいは、クリスマスや盆が、もともと別の宗教習慣の上に積み重なってきたと知ると、自分の中に混在している死生観も「それでいいんだ」と思えてきます。父の死を通して「次は自分の番だ」と気づく井上靖の一節のように、誰しも一度は立ち止まるあの瞬間について、無理に慰めず、静かに寄り添ってくれるのもありがたいです。 ひとつの宗教観を押しつけるのではなく、六つの考え方を“並列で”見せてくれるので、自分がどの考え方に落ち着きやすいのかが自然とわかります。「自然に還る感覚に惹かれるのか」「子孫の命の中に続いていくと思いたいのか」「完全な消滅のほうがしっくりくるのか」。どれを選んでもいいし、選ばなくてもいい。そういう余白を残してくれる本です。 自分の死生観を言葉にできず、心のどこかでずっと引っかかっている人に静かに効く一冊だと思います。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
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