
成熟と喪失 ―“母”の崩壊― (講談社文芸文庫)
江藤淳
講談社 / 1993-10-04
累計読者数4
平均ハイライト数 2.8件/人
推定読了時間 約2時間56分
star総合評価 44/100
boltライト読書型
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この本について
ときどき、自分と他人の境目がよく分からなくなる瞬間がありませんか。家族の期待に応えようとしすぎたり、逆に距離を置きたいのに引きずられたりして、「これって相手の問題なのか、自分の問題なのか」とモヤモヤするあの感じです。僕もそこが整理できずに長く悩んでいたのですが、江藤淳のこの本は、その曖昧さを直視するための視点をくれました。 たとえば、家や家族を「精神の延長」として抱え込んでしまう感覚や、自分に似たものだけを認めようとする心のクセが、どれだけ僕らの日常判断に入り込んでいるかを、具体的な場面を通して突きつけてきます。また、母子の密着や父の権威の喪失といった、生々しい関係の揺らぎを扱いながら、「成熟とは何か」を安易に定義せず、むしろその難しさを浮かび上がらせるところが、この本の効き目です。自分の反応や羞恥心の奥に「他人にはなれない自分」を抱えたまま生きている、という事実と自然に向き合わせてくれます。 親子関係を掘り下げたい人だけでなく、「人との距離感にいつも悩む人」に静かに刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
「成熟」するとは、喪失感の空洞のなかに湧いて来るこの「悪」をひきうけることである(本文より)――「海辺の光景」「抱擁家族」「沈黙」「星と月は天の穴」「夕べの雲」など、戦後日本の小説をとおし、母と子のかかわりを分析。母子密着の日本型文化の中では、「母」の崩壊なしに「成熟」はありえない、と論じ、真の近代思想と日本社会の近代化の実相のずれを指摘した、先駆的評論。
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