
東京藝大美術学部 究極の思考
増村 岳史
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) / 2021-05-28
この本について
仕事でも創作でも、「結局、自分は何を見て、何を信じて動けばいいんだろう」と行き詰まることがあります。やり方を学んでもしっくりこない、上手くはできるけれど“自分の表現”と言える気がしない。そんなときに、この本の言葉がじわっと効いてきました。 読んでいて特に大きかったのは、まず「感じて考える」という姿勢を取り戻すことでした。論理と感覚のレイヤーを重ねるという話は綺麗ごとではなく、実際に観察の仕方が変わる感覚があります。目の前にあるものを“カメラのレンズのように”事実として捉える、あの静かな集中が日常でも使えるようになる。もうひとつは、「上手くできてしまう自分からの脱却」を求められる場面があるという視点です。藝大の学生が最初に半年間かけて“毒抜き”をする話は、今の自分の仕事にもそのまま当てはまるなと感じました。積み上げてきた技術を一度横に置かないと、新しい問いや意味を作れない瞬間があるんですよね。 そしてもう一つは、「何を表現するのか」という問いの重さです。表現とは、自分を絞り出すエクスプレッションと、世界を自分の目で捉え直して再提示するリプレゼンテーションの両方だという説明があり、これが腑に落ちると仕事の企画や思考プロセスの扱い方が変わっていきます。すぐに答えを探さず、余白を残しながら考える態度も、焦りやすい自分にはありがたい示唆でした。 自分の視点を鍛え直したい人、技術はあるのに前に進みにくくなっている人にとても刺さる本だと思います。
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