
スケルトン・キー (角川文庫)
道尾 秀介
KADOKAWA / 2018-07
この本について
人間関係で「相手の気持ちが読めない」とか、「自分の中の黒い感情がふと怖くなる」とか、そういう説明しにくいモヤモヤってありませんか。自分でも扱いきれない衝動や、言葉にならないざわつきを、どこに置けばいいのか分からなくなる瞬間。僕もけっこうそこでもがくタイプです。 『スケルトン・キー』を読んで刺さったのは、そういう“心の奥の正体不明のもの”を、サイコパスという極端な設定を通してあぶり出してくれるところでした。登場人物たちは感情の回路がどこか欠けているのに、その欠け方ゆえに、人間の行動をむしろ冷静に観察してしまう。自分が何に反応しているのか、どこに嘘をついているのか、日常では見落としている視点を突きつけられます。たとえば、誰かに大事なものを奪われたときに湧き上がる異様な不快感とか、恐怖を初めて感知した瞬間の身体の変化に戸惑う感じとか、そういう細部がやけにリアルなんです。 そしてもう一つは、「血のつながり」や「育ち」が人間をどこまで規定するのか、というしつこい問いが物語を通して続くところ。親子関係の事実を知っても何も揺れない人物がいれば、逆にそこにしがみつく人物もいる。その落差が、自分にとっての“根っこ”って本当は何なのかを考えさせます。 自分の感情の動きにいつも自信が持てない人、あるいは他人との距離感に悩んでいる人には、けっこう深く刺さる一冊だと思います。物語としてのスリルはもちろんあるけれど、それ以上に、「自分の中の説明しにくい部分」を静かに見つめ直すきっかけになる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
読書の順序
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