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極夜行 (文春文庫)

極夜行 (文春文庫)

角幡 唯介

文藝春秋 / 2021-10-06

累計読者数43
平均ハイライト数 71.2件/人
推定読了時間 約4時間41分
star総合評価 82/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 56%

この本について

最近、自分の感覚が信用できなくなる瞬間ってありませんか。忙しさに追われるほど、何を頼りに進めばいいのか曖昧になって、気づけば「とりあえず目の前の光だけ見て生きている」みたいな状態になってしまう。頭では分かっているのに、身体がついてこない感じもあって、個人的にはこの本の抜粋を見ていると、そこに刺さっている人が多い気がしました。 『極夜行』には、光がないことで未来の感覚が失われ、身体感覚が狂い、基盤が揺らぐ描写がたくさん出てきます。極端な環境の話ではあるんですが、その揺らぎ方が妙に日常の不安と重なる。例えば、自分の感覚が当てにならず北極星に訂正されるシーンは、「思い込みで突っ走っていたのに外部の事実に引っ張られて正気に戻る」あの感覚に近いし、太陽がわずかに戻ってきたときの安堵は、出口が見えた瞬間のあの体温にそっくりです。 この本が効くのは、極限世界の知識が得られるからというより、「混沌の中でどうやって世界を自分の身体に取りこんでいくか」という視点が手に入るからだと思います。計画が崩れ続ける旅を通して、著者が何を手放し、何を掴み直したのかがすごく具体的に描かれていて、自分の生活の中の不安定さにもそのまま持ち込める感触があります。 「最近、自分の立っている場所が定まらない」と感じる人には、特にしっくりくると思います。極夜の闇は極端だけれど、その中で揺れ続ける著者の心はとても人間的で、読み終えるころには、少しだけ光の方向が掴めるはずです。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ノンフィクション界のトップランナーによる最高傑作。 ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞、W受賞! 探検家にとっていまや、世界中どこを探しても“未知の空間”を見つけることは難しい。様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜——「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。 シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。 ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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