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誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義 (河出文庫)

誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義 (河出文庫)

筒井康隆

累計読者数3
平均ハイライト数 36件/人
star総合評価 64/100
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この本について

ふとした瞬間に「自分は何をして生きていけばいいんだろう」と止まってしまうことってありますよね。日々の予定に追われていると忘れられるのに、静かな時間になると急に押し寄せてくるあの不安。理由がはっきりしないから扱いづらいし、放っておくとただのモヤモヤになってしまう。僕自身、それをどう言語化すればいいのか長いことわからずにいました。 この本が面白いのは、その不安を「対象がない不安」として真正面から扱うところです。自分が死ぬ存在だと知っているからこそ不安になる、という説明を聞くと、避けつづけてきた根本が急に輪郭をもちはじめるんですよね。そして、死を直視することが暗い意味ではなく、「自分には一度きりの可能性がある」という方向へつながっていく。気晴らしや忙しさでごまかしていたものに、ようやくまともに向き合える感覚がありました。 もうひとつ効いたのは、「現存在」という言葉の取り扱い方です。人間そのものではなく、人間の“あり方”を指すという説明が入ることで、自分の毎日の行動や迷いが、ただのバタつきではなく「可能性を探している最中なんだ」と少しだけ落ち着いて見えるようになる。完成しないまま終わる存在だからこそ、今の選択に意味が出てくる、という視点の転換も実用的でした。 哲学に慣れていない人でも読める語り口ですが、刺さる人はかなり限定されると思います。自分の不安の正体を一度くらいちゃんと確かめたい、そんなタイミングにいる人にはとても静かに効いてくる本です。

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