
亀裂 創業家の悲劇
高橋篤史
講談社 / 2022-09-16
この本について
仕事でも家のことでも、長く続いてきたものが急に揺らぎ始める瞬間ってありますよね。自分の努力だけでは動かせない大きな流れに巻き込まれて、「この先どうなるんだろう」と落ち着かないまま日々を回している感じ。特に会社の将来や承継の話が少しでも頭をよぎる立場だと、その不安は言葉にしづらいまま溜まっていきます。 『亀裂 創業家の悲劇』を読んでいて感じたのは、そのモヤモヤの正体が、個人の問題というより“時代そのものが変わってしまったこと”にある、という視点でした。例えば巨大企業ですら価格と品質のバランスを見失えばあっけなく衰退していく現実や、創業家の象徴のようなビルが静かに姿を消していく描写には、組織にいる自分たちの立ち位置まで揺さぶられるような感覚があります。また、経営者の年齢分布がいつの間にか高齢側にずれ込んでしまい、承継が間に合わなくなっている統計も、日常の不安と地続きだと気づかされました。 この本が効くのは、経営者のドラマを眺めるというより、「なぜ今こんな息苦しさを抱えているのか」を外側から整理させてくれるところです。創業家の崩壊劇を描きながらも、ただ特殊な話として終わらせず、自分の周りの組織や働き方をどう見直すかのヒントが静かに染みてきます。特に、会社の“昔からの当たり前”に違和感を覚え始めている人には刺さる一冊だと思います。 派手な成功論とは無縁ですが、時代の揺れの中で自分の立ち位置を考え直したいとき、ちょうどいい距離感で読める本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの74%が集中しています。
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