
その対応では会社が傾く―プロが教える危機管理教室―(新潮新書)
田中優介
新潮社 / 2022-10
この本について
仕事でトラブル対応に巻き込まれるたびに、「正しいはずの判断が、あとから見るとズレていた」とか、「気が動転して周りの助言に振り回されてしまった」とか、そんな経験をしたことがある人は多いと思います。僕も同じで、普段は冷静なつもりでも、予想外の事態が起きると一気に思考が狭まってしまうんですよね。しかも、自分に落ち度がなくても突然トラブルはやってくるから厄介です。 この本が助かるのは、危機管理を“気合い”の問題にしないところです。現場で何が起きるのか、どんな思い込みが判断を狂わせるのか、それを淡々と具体例とともに示してくれる。例えば、悪い情報に気づく「感知」、深刻度を読み解く「解析」、説明や謝罪で状況を整える「解毒」、その後の「再生」という四つの流れを持っておくと、いざという時の思考停止を避けられること。あるいは、事実が揃っていない段階で何をどう伝えるかの“段取り”まで、実務寄りに書かれていること。こういう積み重ねが、平常時の自分に戻る手がかりになります。 もう一つ、読んでいて刺さったのは、人間の本能や心理が危機対応にどう影響するかを丁寧に説明しているところでした。パニックになりやすい理由や、助言に惑わされがちな状況、被害者側が回復していくステップなど、現実の人間を前提にしているから、理想論だけで終わらない。地に足がついていて、淡々としているのに、じわっと効いてくる感じがあります。 仕事で「判断が遅れたらまずい」と感じる場面がある人、あるいはリスク対応を任されて不安を抱えている人に特に刺さると思います。僕自身、何度か読み返して、自分の癖を客観視するきっかけになりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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