
死は存在しない~最先端量子科学が示す新たな仮説~ (光文社新書)
田坂 広志
光文社 / 202210
この本について
最近、頭では割り切れても心が置いてけぼりになることが多くて、「自分の直感ってどこから来るんだろう」とか「考えても答えが出ない問題はどう扱えばいいんだろう」と悩む人、けっこういるんじゃないでしょうか。僕も、仕事で選択に迷うたびに、自分の思考の浅さみたいなものを感じてモヤモヤしていました。 田坂さんの『死は存在しない』は、タイトルこそ大胆ですが、読んでみると“死後”の話というより、「無意識の働きって、本当に何が起きてるんだろう」という素朴な疑問に、量子論やホログラム的な世界観を使って別の入口をつくってくれる本でした。たとえば、考えても出てこなかった答えが、ふとした瞬間にまとまって落ちてくるあの感じを、著者は“ゼロ・ポイント・フィールドに無意識がつながる”という仮説で説明していて、これは比喩として読むだけでも、自分の思考の扱い方が少し楽になります。世界を要素に分解して理解しようとするだけでは届かない領域がある、という指摘も、日常の行き詰まりと地続きなんですよね。 一歩引いて眺めると、科学と宗教の間に橋を架けようとする試みは、人間が長く抱えてきた「意識とは何か」という問いを、別の角度から触り直す作業にも見えます。だからこそ、この本が響くのは、スピリチュアルを求めている人よりも「自分の無意識の働きを、もう少しまともに扱えるようになりたい人」だと思います。 理屈だけで前に進めない時、自分の奥で何が起きているのかを考えるための“新しい比喩”がほしい人に、とても向いています。
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