
朽ちるマンション 老いる住民 (朝日新書)
朝日新聞取材班
朝日新聞出版 / 2023-01-13
この本について
マンションに住んでいると、「この建物はこの先ほんとうに大丈夫なんだろうか」とか、「理事会って、結局誰がどう決めてるの?」みたいな小さな不安が積み重なることがありますよね。気にしすぎかなと思いつつ、何となく落ち着かない。僕もずっとそのタイプでした。 『朽ちるマンション 老いる住民』は、そうした漠然とした不安の“正体”を言葉にしてくれる本です。例えば、機械式駐車場の撤去ひとつ取っても、埋め戻しで地盤沈下が起きるとか、特別決議が必要とか、知らないままでは判断できない現実がたくさんあります。また、管理会社に任せきりの状態がどうして悪循環を生むのか、法改正で行政がどこまで関与できるようになったのか、といった仕組みの部分も丁寧に書かれていて、「自分のモヤモヤは個人の感覚じゃなくて構造の問題だったんだ」と少し落ち着ける感覚がありました。 とくに刺さったのは、マンションが高齢化し、コミュニティとして機能しなくなると“限界集落”のようになってしまうという指摘です。これは脅しではなく、実際にいま起きている現象で、だからこそ住民が情報を共有し、将来像を描くことが避けられないのだとわかります。建て替えが難しい場合には「看取り」という考え方が必要になるという視点も、正直これまで持ったことがありませんでした。 自分の住まいをきちんと考えたい人、あるいはマンション管理にいつか向き合わないといけないと薄々感じている人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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