
ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス
栗田 シメイ
この本について
マンションに住んでいると、「これ本当に必要なルール?」とか、「管理組合って何者なんだろう…」みたいな小さな違和感を覚えることがありませんか。自分の暮らしに関わるはずなのに、仕組みはやたら複雑で、いざ揉めるとどう動けばいいのかも分からない。僕も同じで、日常に紛れるそのモヤモヤを放置したまま大人になったタイプです。 『ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス』は、そんなモヤモヤをいきなり“社会の縮図”として突きつけてくるような一冊でした。舞台は新宿から2駅の巨大マンション。配達員の入館拒否、理不尽なルール、面接、荷物チェック、果ては54台の防犯カメラによる24時間監視…。読み進めるほど、「制度が一度ねじれると、人の生活はここまで振り回されるのか」と背筋が冷えます。同時に、約30年私物化された管理組合に、住民が1200日かけて向き合っていく過程が淡々と描かれ、その粘り強さに何度も立ち止まりました。 この本の面白さは、恐ろしい話として読むだけで終わらないところです。例えば、管理組合と住民の力関係が法的にどれだけ偏っているのかが、具体的なエピソードで理解できるし、「1票でも勝てば官軍」という言葉が示すように、マンション自治がほぼ政治そのものだと気づかされます。また、日本の住宅ローン制度や管理組合の概念そのものが、そもそもどんな思想で始まったのかを知ることで、「家に住む」という行為が思っていた以上に歴史と制度に縛られていることが見えてきます。 マンション管理に限らず、「組織のルールに飲み込まれそうになった経験がある人」には特に刺さると思います。自分の暮らしを支える仕組みを、いったん立ち止まって眺め直すきっかけになる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
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