
日本の電機産業はなぜ凋落したのか 体験的考察から見えた五つの大罪 (集英社新書)
桂幹
この本について
仕事で組織を動かそうとすると、「なぜこんなに議論が進まないんだろう」「会社のビジョンって、どこにあるんだろう」と、じわっとしたモヤモヤにぶつかることがあります。自分の努力だけではどうにもならない構造の壁がある気がして、でもそれが何なのか言語化できないまま時間だけが過ぎていく。僕自身もずっとその感覚を抱えていました。 この本は、日本の電機産業という巨大なケースを通して、その“構造の正体”をかなり具体的に見せてくれます。期待値が低い組織ほど士気が上がらないこと、ビジョンを描けないリーダーの影響がどれほど大きいか、そしてダイバーシティの遅れや中途半端な雇用のあり方が、現場の力をじわじわ奪っていくこと。抽象的な精神論ではなく、実際の企業の判断や現場の空気感から理解できるので、読んでいて自分の職場の課題と自然につながっていきます。 特に、イノベーションは「選択と集中」とは相性が悪いとか、ロードマップを実現する力が逆に市場の変化を見えにくくしてしまうとか、日々の仕事でなんとなく感じていた違和感が、腑に落ちる形で説明されているのがありがたかったです。自分の不安や苛立ちが個人の力量不足ではなく、構造的な背景にあると分かるだけでも、少し呼吸がしやすくなります。 自分の職場に漂う“変わらなさ”の理由を言語化したい人には、特に刺さると思います。
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