
入門 開発経済学 グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション (中公新書)
山形辰史
中央公論新社 / 2023-03
この本について
最近、世界のニュースを見ていると「結局、貧困ってどうにもならないんじゃないか…」みたいな気分になることがあります。自分の仕事でも、何か社会の役に立つことをしたいと思いながら、結局どこかで限界を感じるというか。数字の大きさに圧倒されて、目の前がぼやけてしまう感覚に心当たりがある人は多いと思います。 この本を読んで驚いたのは、そんな思い込みがけっこうズレていたという事実でした。読者の方の抜粋にもあるように、世界の貧困者はこの数十年で「人口の八割→一%以下」にまで減っている。しかも、それは偶然ではなく、中国や東南アジアの経済成長、技術進歩、資本蓄積といった具体的な動きの積み重ねで実現してきたものだとわかる。貧困の罠や国際貧困線といった基礎概念も、ニュースでは流れてこない実態を理解する助けになりました。 個人的に効いたのは、「途上国が成長できた理由」が数字とメカニズムで語られている点です。現場の努力がどこまで結果につながるのか、キャッチアップがどうして可能なのか、そういう疑問に対して、悲観でも楽観でもなく、現実のデータで淡々と示してくれる。自分の仕事に置き換えてみても、小さな改善や学習が積み上がると、実は長期ではすごく大きな差になるんだな、という視点の変化がありました。 世界の貧困問題に興味がある人だけでなく、「大きすぎる課題の前で、どこから考えたらいいか分からなくなる人」に刺さる一冊です。悲観する前に、何が実際に起きてきたのかを知りたい時にちょうどいい本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの46%が集中しています。
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