
思考の技術論
鹿島 茂
平凡社 / 2023-03-22
この本について
仕事の問題でも、人生の選択でも、「全体がモヤっとしていて、どこから手をつけたらいいのか分からないまま時間だけが過ぎる」という瞬間がけっこうあります。考えようとしても、頭の中で情報が渋滞して、結局いつも同じところを堂々巡りしてしまう感じ。僕もよくそこにハマります。 『思考の技術論』を読んで刺さったのは、この「モヤっとした全体」をいきなり理解しようとするのではなく、まず細部を観察して、既知と未知を切り分けるという姿勢でした。自然の中のごく身近な事柄からでもいいから、いま目の前にあるものを十全に観察する。その視点の切り替えだけで、問題の輪郭が急に見えやすくなるんですよね。さらに、全体をいくつかに分け、その中の「最も単純で扱いやすい部分」を探すことで、複雑な問題でも階段を一段ずつ上がるように理解が進んでいく。この感覚は、日々の仕事の判断にもすごく効きます。 もう一つ大事だと感じたのは、分析が“世界の最小単位を探すため”ではなく、“構成要素同士の関係を見るため”のものだという話。これは、情報の断片をただ集めるのではなく、既知と既知を並べて「その間に何がまだ分かっていないのか」を見つける作業につながります。未知を無理やり潰すというより、自然に浮かび上がらせるような感じです。 全体を一気に理解できずに立ち止まりがちな人、あるいは考えれば考えるほど視野が曖昧になる人には、とても静かに効く本だと思います。問題を前にしたとき、「どこを見るべきか」が少しだけ鮮明になる。そんな読後感でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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