
半導体有事 (文春新書)
湯之上 隆
文藝春秋 / 2023-04-20
この本について
半導体の話題って、仕事で名前だけは知っているけれど、結局どこが問題で、世界では何が起きているのか…とモヤモヤしたまま流してしまいがちですよね。僕も「TSMCがすごいらしい」「中国が追い上げているらしい」くらいで止まっていたのですが、この本はその“らしい”を一つずつ具体的にほどいてくれました。 読んでみて意外だったのは、ムーアの法則が単なる技術競争ではなく、「利益を次の微細化に回す」という循環そのものだと腹に落ちる説明があること。なぜ28nmが車の生産を止めたのか、なぜ8インチ装置が手に入らないのか、といった現場レベルの詰まりが、政治や地政学とどう繫がっていくのかが丁寧に示されます。そして、TSMCがなぜ独走できたのかを、EUVの技術だけでなく、SOCの受託プラットフォームという“仕組み”で説明してくれるのが、個人的には一番の収穫でした。 読み終える頃には、「半導体不足って要するに何が足りないの?」という素朴な疑問が、サプライチェーン、設備投資、各国の思惑まで含めて一本の線になっていきます。知識を増やしたいというより、“いま世界で起きていることを自分の頭で整理したい人”に刺さる本です。 専門用語は多いのに、不思議と読み切れるのは、著者が技術と政治の話を分けずに、現実の動きをそのまま並べてくれるからだと思います。迷う日々の中で、「世界の仕組みが少しだけ見える」感覚がほしいときに手元に置いておきたい一冊でした。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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