
思い出せない脳 (講談社現代新書)
澤田誠
講談社 / 2023-05-18
この本について
最近、昔の出来事や人の名前がぱっと出てこなくて、自分の衰えなのかなと落ち込むことがあります。仕事中も、やろうと思ったことが別の通知で吹き飛んだり、気づけば感情に振り回されて疲れていたり。そんなとき、「思い出せないのは自分のせい」という思い込みに、少しだけ距離を置けたのがこの本でした。 読んでみて意外だったのは、忘れる理由がひとつではないということです。そもそも情動が動かず大事な記憶と判断されなかったり、睡眠不足で整理されなかったり、脳が危険を避けるために“引き出しを閉じて”しまっていたり。自分の怠慢ではなく、脳の仕組みとしてそういうことが起きると分かるだけで、妙な罪悪感が和らぎます。また、感情が記憶の選別を担っているという視点も、日常のモヤモヤを理解するヒントになりました。怒りや不安が湧いたときに「脳は自分を守ろうとしているだけかも」と一呼吸おくだけで、必要以上に引っ張られなくなります。 さらに、記憶が“神経細胞のネットワーク”として保管され、思い出すたびにそのつながりが強まっていくという説明は、忘れたくないことほど「ときどき思い出してみる」意味を実感させてくれます。スマホの通知を切るとか、作業をひとつに絞るといった小さな工夫が、脳の仕組みとちゃんとつながっているんだと腑に落ちました。 自分の物忘れに不安を感じているけれど、ただの根性論ではなく、仕組みから理解したい人に静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
読書の順序
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