
私の身体を生きる (文春e-book)
西 加奈子, 村田 沙耶香, 金原 ひとみ, 島本 理生, 藤野 可織, 鈴木 涼美, 千早 茜, 朝吹 真理子, エリイ, 能町 みね子, 李 琴峰, 山下 紘加, 鳥飼 茜, 柴崎 友香, 宇佐見 りん, 藤原 麻里菜, and 児玉 雨子
文藝春秋 / 2024-05-24
この本について
自分の身体にまつわる感情って、説明しようとするといつも言葉が足りないまま終わってしまうことがあります。誰にも教わらなかった距離感や、恋愛のあとに押し寄せる情緒の波、他人からどう見えるかに振り回されてきた癖。頭ではわかっているのに、身体がついてこない感じにモヤモヤしている人は多いと思います。僕もずっとそうで、自分の反応の「理由」を後から拾い集めてきただけでした。 『私の身体を生きる』は、そのモヤモヤを無理に整理しようとせず、まずは「こんなこと、私にもあった」と思わせてくれるところが効きます。たとえば、行為のあと数日かけて感情が変化していく記録や、若さゆえに自分も相手も“人”として見られていなかったと気付く場面。抽象論じゃなく、読んだ瞬間に「あ、この感覚わかる」と身体が先に反応する具体さがあります。単なる共感ではなく、いまの自分の反応や選択に「そうなる仕組みがあったんだ」と思えるのが大きいです。 そしてもうひとつ、この本は“身体に対する距離の取り方”をそっと修正してくれます。気軽な接触が侵害になりうることを知らなかった、という告白は、加害と被害を単純に割り切らないまま、それでも自分の身体を引き受けていく姿勢につながっていきます。タトゥーを「自分の身体を自分のものとして引き受ける宣言」として語る箇所も、強がりではなく、ようやく辿り着いた足場のように感じました。 自分の身体の反応や感情の揺れを「正しく扱えている自信がない人」に刺さる一冊です。自分を責めるでも甘やかすでもなく、ただ少しだけ、自分の身体と同じ距離に立てるようになる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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