
記憶する体
伊藤亜紗
この本について
仕事でも日常でも、うまく言語化できない「なんで自分だけ噛み合わないんだろう」という瞬間が続くと、原因が自分の性格なのか、能力なのか、それともただの疲れなのか分からなくなることがあります。頭では整理しているつもりなのに、体がついてこない感じ。あるいは逆に、体が先に反応してしまって理由が説明できない感じ。僕自身もそこにずっとモヤモヤしていました。 『記憶する体』は、その「説明できなさ」を丁寧にほどいてくれる本でした。たとえば、見える人と見えない人で“情報の追い方”がそもそも違う話や、ニーズは本人にも分からないことがあり、まずプロトタイプを作ることで自分の欲求が見えてくる話。あるいは、痛みや違和感は思考よりも体のほうが先に動くことなど、読みながら「あ、そういうことだったのか」と腑に落ちる場面が何度も出てきます。自分の反応に理由をつけられない時、それは欠点ではなく、体の記憶や歴史が作っている自然なプロセスなのかもしれません。 特に刺さったのは、「うまく扱えない自分」を無理に矯正しなくてもいいという空気感です。家族の“突っぱねでも献身でもない関わり”が人を落ち着かせるように、過去の体験と距離を置くことでやっと現在が成立する人もいる。この本は、そんな揺れを抱えたままでも前に進める感じをくれます。 自分の反応の理由が分からず、いつも少し生きづらさを抱えている人に、とても静かに届く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt
健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体 (角川oneテーマ21)
内田 樹、春日 武彦

トラウマからの回復
生野 信弘

ミラーニューロンの彼方へ!: 支配からの解放
大嶋信頼

複雑性PTSDの理解と回復
アリエル・シュワルツ、野坂祐子

私の身体を生きる (文春e-book)
西 加奈子, 村田 沙耶香, 金原 ひとみ, 島本 理生, 藤野 可織, 鈴木 涼美, 千早 茜, 朝吹 真理子, エリイ, 能町 みね子, 李 琴峰, 山下 紘加, 鳥飼 茜, 柴崎 友香, 宇佐見 りん, 藤原 麻里菜, and 児玉 雨子
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要


