
ヴァレリー 芸術と身体の哲学 (講談社学術文庫)
伊藤亜紗
講談社 / 2021-01-12
累計読者数9
平均ハイライト数 27.3件/人
推定読了時間 約3時間36分
star総合評価 58/100
start序盤集中型
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この本について
仕事でも創作でも、自分の「見え方」や「感じ方」がいつの間にか固定されてる気がして、ふと息が詰まることがあります。何かをつくるときも、伝えるときも、自分の中の声と、他者に向けた振る舞いのあいだで揺れ続けるあの感じ。どちらが本音なんだろう、と考えだすと手が止まるあれです。 『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』を読んでいて救われたのは、そんな迷いを「前提」として扱ってくれるところでした。たとえば、作品は作者の誠実さの証明ではなく、むしろ身体の奥に隠れていた機能をあぶり出す装置だ、という視点。ドガのデッサンの“ゆがみ”が新しい見方を引き出すように、表現は正確さの勝負ではなく、こちらの身体の方を変えてくるものだと気づかされます。また、読者がテキストの〈わたし〉に自分の身体を置き入れて読むという発想も、自分の読み方そのものが行為であることをそっと思い出させてくれました。 自分の内側を「透明」と思い込みがちな人ほど、この本はじわじわ効きます。表現に関わる人だけでなく、日々のコミュニケーションで疲れやすい人にも刺さると思います。作品がこちらを解剖する、なんて物騒な言い方ですが、読んでみると意外と穏やかで、自分の感覚の余白が少しだけ広がる本でした。
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出版社による紹介
習慣として早朝の数時間、一日のうちいちばん「非社会的」な時間に書き続けられたというヴァレリーの言葉。 膨大な量のそれは人間の生の実相へと肉迫する。作品が装置であるとはどういうことか。時間と行為の関係とは? 詩が身体を解剖するとは? ヴァレリーのテクストを丹念に読み込み、そこから描き出された芸術と身体と生の関係。 著者の美学・身体論の出発点となった記念碑的力作。
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