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個性という幻想 (講談社学術文庫)

個性という幻想 (講談社学術文庫)

ハリー・スタック・サリヴァン and 阿部大樹

講談社 / 2022-10-13

累計読者数5
平均ハイライト数 41.8件/人
推定読了時間 約3時間53分
star総合評価 80/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 77%

この本について

人と関わる場面で、相手に対して過剰に身構えたり、逆に自分でも理由がよく分からない反応をしてしまうことってありますよね。僕も「これは性格の問題なのか?」と考えてはモヤモヤするタイプです。でも最近は、その捉え方自体がちょっとズレていたのかもしれないと思うようになりました。 『個性という幻想』は、まさにそのズレを静かにほどいてくれる本でした。サリヴァンは、人の振る舞いを「個性」ではなく、「これまでどんな対人の場で生きてきたか」によって説明しようとします。たとえば誰かを目の前にしたとき、そこには相手本人だけでなく、過去の人間関係から派生した“仮想の相手”まで一緒に場に入り込んでくる。自分の反応が読めないとき、その背景にはこういう“場の力学”が働いている、という視点はかなり現実的で、腑に落ちやすいものでした。 面白いのは、この本が「人を診る」のではなく、「人が置かれている場を診る」態度を一貫しているところです。偏見は学びを妨げること、文化や言語と切り離された瞬間に人は急速に鈍ってしまうこと、そして不安の正体は“多数の不承認の記憶”であることなど、読んでいると自分の行動の説明が静かに書き換わっていく感じがします。 人間関係で繰り返すクセにうんざりしている人、あるいは「自分とは何か」の答えがずっと曖昧なままの人には、とても刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

生前にはアメリカの医学界を陰で支配しているとまで言われながら、没後はその名さえ忌み嫌われたハリー・スタック・サリヴァン(1892―1949)。1970年代にアメリカ精神医学の源流として再評価され、さらに近年、人間社会と精神疾患の関係を論じた先駆者として再注目される精神医学者の、本邦未訳の論考を中心とした著作集。 サリヴァンが生涯をかけて訴えたのは、人間同士の差異よりも、互いを結び付けているものに着目することの重要性だった。患者一人ひとりを診るのではなく、「人間集団に対する精神医学」を唱えたのである。しかし、「個性とは幻想である」という見解は当時、あまりにラディカルでほとんど危険思想のように受け取られた。今世紀になり、「トラウマ理論」や「発達病理学」といった学際的研究領域が確立してようやく、サリヴァンの提出した課題に科学として取り組めるようになったのである。 本書は、初出出典に基づいて訳出した日本語版オリジナルの論集で、徴兵選抜、戦時プロパガンダ、反ユダヤ主義、国際政治など、実社会に関する特に重要なものを選んだ。収録した12編のうち11編は、日本で唯一未訳の著書“The Fusion of Psychiatry and SocialSciences” にも収められている。 なお、編訳者の阿部大樹氏は、サリヴァン『精神病理学私記』で日本翻訳大賞を受賞。今年10月に京都で開催される「サリヴァン・フォーラム」にも登壇する予定。 目次 編訳者まえがき 第一部 精神医学とは何か 精神医学入門三講 社会科学百科事典『精神医学』 黒人青年についての予備調査 症例ウォレン・ウォール 個性という幻想 不安の意味 第二部 精神医学の応用 プロパガンダと検閲 反ユダヤ主義 精神医療と国防 戦意の取扱いについて リーダーシップの機動化 緊張――対人関係と国際関係 索引
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