
バリ山行
松永K三蔵
講談社 / 2024-07-29
累計読者数12
平均ハイライト数 4.8件/人
推定読了時間 約1時間59分
star総合評価 58/100
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この本について
仕事のことで頭がいっぱいになって、実際には何も起きていないのに不安だけが増殖していく時ってありませんか。自分でもわかっているのに止められないあの感じ。私もこのループに何度もハマってきましたが、『バリ山行』を読んで、少しだけ視点が変わりました。 この本が描くのは、整備された道ではなく、人がほとんど入らない“バリ”を歩く人たちの姿です。彼らが向き合っているのは、会社の予測やイメージではなく、目の前の崖の手掛かりや足場といった「本物」だけ。妻鹿さんの「不安はまぼろしだよ」という言葉も、実際に落ちれば終わりという状況で発されたものだからこそ、きれいごとに聞こえない。歩いているうちに意識が抜け落ちて、身体だけが前に進んでいく描写も、頭だけで考え続けて空回りしていた自分には妙に沁みました。 特にぐっときたのは、妻鹿さんが誰にも褒められない低山を黙々と藪漕ぎし続ける理由です。成果とか他人の評価ではなく、「自分で選んだ道を確かめるため」に歩いている。その姿を見ていると、仕事の選択や会社の行方に振り回されている自分の小ささに気づくというより、もっと静かに「そこばかり見ていてもしんどいよな」と思わされるんです。 仕事の不安で呼吸が浅くなっている人、つい頭の中だけで未来をこね回してしまう人には特に刺さる一冊だと思います。自分の足元をもう一度確かめたい時に、そっと効いてきます。
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出版社による紹介
第171回芥川賞候補作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋) 会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。
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