
無限病院 医院
韓 松、山田 和子
この本について
病院に行くたびに、何を信じていいのかよくわからなくなる時があります。医師には頼りたいけれど、全部を委ねてしまうのもどこか不安で、とはいえ自分で判断する材料もない。そんな「信頼と不信のあいだ」で揺れる感じって、けっこう多くの人が抱えているものだと思います。 『無限病院 医院』を読んでいて強く感じたのは、その揺れそのものを物語が正面から扱ってくれるところです。病院という巨大なシステムと、そこに放り込まれた個人がどう心理的に変容していくのか。「病院に来たからには、あれこれ悩まず委ねるしかない」という主人公のあきらめのような覚悟、そして「病院は病気を治すのであって、患者を治すわけではない」という冷静な指摘。こういう一文は、医療への不安をごまかさず、むしろ見える形にしてくれる感じがあって、読んでいて妙な落ち着きをくれます。 さらに、この本が面白いのは、病院と患者の関係をあくまで人間関係として描いているところです。信頼の証明を求められたり、役割が入れ替わったり、夫婦のように表面上は調和していながら深い不一致を抱えていたり。病院を「神格化しない視点」で捉え直すことで、自分がいま感じている違和感の正体が少し見えてくる。そこにこの本の効能がある気がします。 医療のシステムに飲み込まれそうになったことがある人、あるいは「健康であることを証明しなきゃいけない社会って何なんだ?」と引っかかったことがある人には、特に刺さると思います。読み終わった時、病院への向き合い方がちょっとだけ変わるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要




