
DTOPIA
安堂ホセ
河出書房新社 / 2024-11-01
この本について
最近、情報の速度に引きずられて、何かをじっくり「見る」とか「考える」みたいな行為そのものがしんどくなる瞬間が増えました。結果だけ追いかけてしまったり、他人の痛みを安全な距離で消化しようとしてしまったり。そんな自分に気づくと、少し後ろめたさも湧いてきます。でも、どう扱えばいいのか分からないまま流されてしまうんですよね。 『DTOPIA』を読んでいて感じたのは、その後ろめたさを責めるんじゃなくて、「なんでそうなるのか」を丁寧に見せてくれる姿勢でした。たとえば、私たちが“概念だけ受け取って済ませる”傾向にあるという指摘も、思い当たるものが多いし、誰かの暴力や痛みを、怖くないサイズに分解しようとするクセにも、妙なリアリティがありました。それを批判ではなく、今の世界で生きる私たちの自然な反応として描いてくれるのがありがたかったです。 また、この本が面白いのは、力や美しさ、マイノリティの身体や欲望みたいなものが、どれも一枚岩じゃなく揺れ続けていることを、具体的なシーンを通して見せてくれるところでした。誰かの弱さがどこで価値に転じるか分からない感じや、未来の気配を子供たちがちゃんと嗅ぎ分けている描写に、救われる読者も多いと思います。 「自分の感じ方が正しいのか分からないまま、世界の複雑さに置いていかれそうな人」に特に刺さる一冊です。自分の中の“モヤモヤのゆくえ”を追いかけるための、静かな地図みたいに読めました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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