
東浩紀巻頭言集Ⅰ 思想地図β篇
東浩紀
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この本について
数字ばかり追いかけていると、いつのまにか自分の感覚が弱っていくようなときがあります。地震の確率、財政のシミュレーション、未来のリスク。正しい情報を知ろうとしているだけなのに、気づけば「自分はどう生きたいのか」という問いから遠ざかってしまう。そんなモヤモヤを抱えている人には、東浩紀『思想地図β篇』は静かに効いてきます。 この巻頭言集は、時事を論じているようでいて、実は「連帯とは何か」「忘れてしまう人間に何ができるのか」といった、もっと根本的な問いに向き合わざるをえなくなる本です。たとえば、統計の世界に閉じこもると人と人のつながりが細くなるという指摘は、自分の生活にもそのまま当てはまりますし、「制度を変えるより先に気風を変えないといけない」という話は、仕事の現場の空気にも通じます。また、フクシマをどう語り継ぐかという問題は、忘れたい自分と向き合う場面を思い出させます。 読みながら、社会を語る言葉が古くなったときにどうするのか、あるいは消費の軽さすら連帯の手段になりうるのか、といった視点の転換が自然と起きます。理想論ではなく、いまの日本にいる私たちが何を見落としているのかを、一緒にたどるような読書になります。 自分の立ち位置がわからなくなったとき、抽象的すぎない形で「考える手がかり」を求めている人に刺さる一冊だと思います。
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