
東浩紀巻頭言集Ⅱ ゲンロン篇
東浩紀
この本について
なんとなく「ちゃんとしてないといけない気がするけど、何をちゃんとすればいいのか全然わからない」。そんなモヤモヤを抱えたまま、日々のニュースやSNSを眺めていると、どこかで自分の思考が縮こまっている感覚がありませんか。まじめでもふまじめでもない、ただ流されていく「きまじめ」さに心当たりがある人は多いと思います。僕もその一人でした。 『東浩紀巻頭言集Ⅱ ゲンロン篇』は、その縮こまりを一度ほぐしてくれる本です。「見えるものの奥に見えないものが潜んでいる」という感覚を、難しい理論ではなく、観光の話やネットの閉塞、文化と愛の関係といった具体的な場面を通して示してくれる。読むと、世界の捉え方がほんの少しズレる。まじめとふまじめの間をふらふら迷うことが、じつは思考の入口だったんだと気づかされます。自分が受け取ってきた情報がいかに“同じものの反復”だったのかにも、いやでも向き合わされます。 特に刺さったのは、「幽霊が見える目」という比喩でした。現実の輪郭だけを追うのではなく、そこに影のように付随するものまで見ようとする姿勢。その視点は、仕事の企画にも、人間関係にも、SNSの距離感にもじわじわ効いてくる。混じり合うことを恐れない姿勢と言い換えてもいいかもしれません。 同じ場所に立ち尽くしている気がする人、考えているつもりで実は何も受信できていない気がする人には、とても相性のいい一冊です。
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