
ルポ 誰が国語力を殺すのか (文春文庫)
石井 光太
文藝春秋 / 2025-07-08
この本について
勉強してきたはずなのに、いざ人と話すと自分の気持ちがうまく言葉にできない。子どもと向き合うときも、どう接したらいいのか自信が持てない。そんなモヤモヤを抱えたまま日々を過ごしていると、「国語力って何なんだろう」と考え込む瞬間が出てきます。テストの点では測れない、でも確実に生活に影響してくるあの力です。 『ルポ 誰が国語力を殺すのか』は、その正体を外側からではなく、現場の泥臭い実態から照らしてくれます。たとえば、語彙が乏しい子ほど自分のつらさを「イラつく」と一言で片づけてしまい、周囲と関係が悪化していく流れ。あるいは、教員側が余裕を失い、本来向き合うべき「感じる力」「想像する力」を育てきれない状況。さらに、子どもがゲームに逃げる背景に“自分の内面を言葉にできない苦しさ”があることなど、どれも読みながら胸が痛くなるものばかりです。けれど、その痛みがどこから来るのかが言語化されるので、読後には少しだけ視界が晴れます。 特に響いたのは、国語力を「心の船」として描く視点でした。語彙が燃料になり、情緒や想像が舵になる。これを聞くと、成績ではなく、生き抜くための基礎として国語を見直したくなります。親子の会話の質、五感を使った体験、言葉を通じた自己理解。どれも大きなことではなく、日々の小さな積み重ねが効いていくのだとわかります。 子どもの教育に限らず、「言葉にできない何かにずっと悩んでいる大人」にこそ刺さる本です。自分の内側を丁寧に扱えるようになりたい人には、静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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