
サイコパスから見た世界: 「共感能力が欠落した人」がこうして職場を地獄にする
デイヴィッド・ギレスピー and 栗木 さつき
東洋経済新報社 / 2025-08-06
この本について
職場で「なんでこの人だけ、話がまったく通じないんだろう…」と感じたことがある人なら、相手の行動を自分の常識で説明しようとして疲れてしまった経験があると思います。妙に対立を仕掛けてきたり、平気で嘘を重ねたり、こちらが不安で胃が痛くなるような場面でも、本人はまったく気にしていない。あのズレの正体は何なのか、そもそもこちらはどう身を守ればいいのか。この本は、その疑問にかなり現実的に答えてくれました。 読んでいて印象的だったのは、サイコパスの行動が「壮大な策略」ではなく、その場その場の自己利益だけで動いているという指摘です。だからこそ、一貫しない嘘をつき、過去の対立も気にせず、相手の感情をまったく学習しない。その仕組みを神経科学まで含めて説明してくれるので、妙に納得できるんですよね。こちらが延々と疲弊していた理由が、単なる性格の相性ではなく、そもそも脳の前提が違うからだと知ると、少し肩の力が抜けました。 もうひとつ助けられたのは、関わらざるをえないときの「現実的な距離の取り方」が書かれているところです。挑発に乗らない、余計な情報を渡さない、必要最低限のやり取りに徹する。聞くと当たり前に見えますが、実際はかなりむずかしい。でも、この本は「こうすれば完璧に守れる」ではなく、「ロボットになるくらい割り切るほうが自分を守れる」という感覚をくれるので、実践しやすい温度感なんです。 身近に“どうしても理解できないタイプ”がいて消耗している人に、静かに効く一冊だと思います。
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